梅雨入りから数日、前鳥神社周辺では気持ちのいい晴れた日が続いていますが、植物のためにもこの辺りで一雨降ってほしいものです。
[中庭の山アジサイ]
ただいま研修殿の前に、崇敬者の方にご奉納いただいた楷の木を飾っています。楷の木は「学問の木」とも呼ばれ、これは中国の春秋時代の思想家・教育者である孔子の墓所に弟子がこの木を植えたことに因みます。
[まだ若い楷の木]
中国山東省曲阜市にある孔林(孔子とその一族の墓所)には現在でも楷の木が植え継がれており、学問の聖木とされているそうです。日本には大正4年にその楷の木の種子が持ち込まれ、湯島聖堂(東京都)・足利学校(栃木県)・閑谷学校(岡山県)・多久聖廟(佐賀県)などの孔子を祀る孔子廟に植えられました。
前鳥神社の主祭神 菟道稚郎子命さまは我が国で初めて論語(孔子の思想を表した書)を学ばれた方です。菟道稚郎子命さまが兄君 大鷦鷯尊さま(後の仁徳天皇)に皇位を譲ったという「謙譲の美徳」の物語は、菟道稚郎子命さまが孔子の説いた儒教道徳を深く理解されていたことを示しています。また、当神社は「学問の宮」とも称されることから楷の木とは浅からぬご縁があります。本殿の裏など境内の数カ所にも植樹されています。
[綺麗に並んだ葉]
楷の木という名前は、葉が整然と繁る様を「楷書」に喩えて名付けられたと云われます。確かにどことなく知的な雰囲気を漂わせていますね。
神社にお立ち寄りの際はぜひご覧下さい。