先日、さきとり幼稚園のお友達が研修殿受付へやってきて、「外に落ちてました」と、こちらを届けてくれました。
皆さんこれが何だかお分かりになるでしょうか?
一見ただの鉄くずのようですが、実はこれは大神輿についていた風鐸(ふうたく)の錺(かざり)です。風鐸は神輿の屋根の四隅に吊り下げられる鐘のようなもので魔除けの意味があります。風鐸については以下のURLをご参照ください。
慌てて「どこで拾ったの?」と訊ねましたが、「何日か前に拾って石の上に置いておいたから、どこで拾ったかあんまり覚えていない」とのことでした。境内に出て話を聞いた様子では奨学神社の周辺かと思われましたが、詳細は分からず残念でした。
前鳥神社の大神輿は江戸末期の文久元年(1861)の完成です。当初は風鐸と燕の錺がありましたが、徐々に破損・散逸し、現在は燕がオリジナル一羽、風鐸は四つ無事ですが風鐸の錺は僅かに残るのみです。
風鐸・錺・鈴
左が大神輿の錺、中央は今回見つかったもの、右は八坂神社神輿の錺(推定)
拾ってくれた子と届けてくれた子には「これはすごいお宝だよ、また見つけたら教えてね」とよくお礼を言いました。
その後、神社で保管している錺の破片と見比べましたが、大神輿の風鐸錺で間違いないようでした。
大きさがほぼ一致し、組み合わせても違和感がありません。
このように三方向に突き出た構造になります。
ここ50年の間、大神輿に風鐸が吊り下げられたという記録も証言もありません。一体どのようにしてこの錺が少しの錆もなく保存され、出てきたのか、たいへん不思議です。いつも神社で遊んでいる子どもたちの好奇心・冒険心が、とても貴重な資料の発見に繋がった面白い一日のことでした。