昨日報道された下記のニュース
ナマハゲなど、10の民俗行事が「来訪神 仮面・仮装の神々」としてユネスコ無形文化遺産に一括登録される見通しとなったというものです。
これらの行事は、村人が仮面を着けて異形の神に変身し、村内の家々を訪れて村人を脅かしたり、村人からもてなしを受ける除災招福の行事という共通点をもちます。
[家主のもてなしを受けるナマハゲ]
ナマハゲとそれに類似した民俗が各地に見られることは、柳田國男が昭和9年に発表した『妖怪古意-言語と民俗との関係』(『妖怪談義』収録)の中で言及しています。
[甑島のトシドン]
柳田によれば、ナマハゲはかつて「ナモミハギ」と呼ばれ、囲炉裏に長時間あたっていると出来る「ナモミ」という低温やけどのアザがある人間を探して、その肉を剥ぐと信じられていたそうです。今回、一緒に登録された能登の「アマメハギ」の「アマメ」も同じアザを意味します。
働き者に福をもたらす神が、次第に囲炉裏にあたってばかりで働かない怠け者を懲らしめる恐怖の面を強調され、鬼や化け物と同列に扱われるようになったことを柳田は「やや零落せんとする前代神の姿」と記しています。
今回の無形文化遺産登録によって、零落した神が来訪神として再評価されることを柳田國男も喜んでいるでしょう。
仮面を着けることで神や超人に変身するという信仰は全世界に見られますが、日本では古くは縄文時代に痕跡が見られ、今回の民俗行事だけでなく、能・田楽・神楽などの芸能にも引き継がれています。
[国宝 仮面の女神]
そして、仮面ライダーやゲーム・アニメの中にも仮面と変身の系譜が見え、現代のサブカルチャーに大きなインスピレーションを与えているところに日本文化の特徴があると言えます。
今回の登録を機に、地域の伝統文化が見直され、民俗行事全てが盛り上がっていくことを期待します。